吸血鬼に甘い鎖を
昨夜のことだった。



咲が眠りにつくころ、
クロト、リリーナ、
リヴィアたちは呼び出されていた。




『…ったく、なんだよ親父。

こんな時間に起こしやがって…』


…咲の寝顔見れねぇだろ、

そう小さく悪態をついた。



「まぁまぁ、クロト兄。

…それで、どうなさったんですか」



リリーナが不思議そうに聞いて、
レンディアも深くうなずいた。




「クロトに、
正式な私の後継者と
なってもらおうとおもってな」




リリーナが楽しそうに笑って、


「あら、陛下。

それはもう前々から
決まっていたことでしょう?

単にクロト兄が了承していない
というだけで」



なぜいまさらそんなことを?


そういって笑った。


しかし、クロトも
リヴィアも、二人の表情は
笑っていなかった。




「…どうなさったの、お兄様」



不安がよぎった。



この空気は明らかに違う。



私が受け取った陛下の言葉の意味は、
違うということなんだろうか。





「違うよ、リリーナ。

本当に、正式なものとして、
明日、

【印】を結ぶことにしたんだ」
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