吸血鬼に甘い鎖を
「…あ、あぁ…」


始まっちゃったよ…!!



リリーナさんと騎士隊長は
いい具合に剣をかちあわせ
お互いに一歩も譲らない。



私はただ見ていることしか
できなくて
少しずつ後ろに下がってしまう。



「…え!?」



びっくりしたのは
後ろに兵士がいたからっ。



なんと、
回り込んで私とリリーナさんを
捕まえようとしているみたい。



なんでなのよぉぉ!!




「…女の子に
そんなことしてくれちゃって!


変態って思われてもいいの!?」



うぐっ。


そんな声が聞こえた気がした。


兵士たちはみんな男だから
変態って言葉に弱い。



でもそれも一瞬で
騎士としての威厳を
取り戻してまた近寄ってくる。





えぇー!?




どうすればいいのぉ!?



「咲さん!先に行ってください!」



困り果てた私に
降りかかる一言。




「え、リリーナさん!

でもそれじゃ…!!」




「いいんです!

クロト兄のためにも、
早く行ってください!


こうしている間にも
クロト兄は【印】を
結んでしまうかもしれないんです!


そんなことになるくらいなら、
こんな大人数くらい
なんとかなりますよ!」



強がっているようにしか
見えないけど
それは違ったんだと思う。


リリーナさんは本当に、
私とクロト君のことを思って
一生懸命になって
くれているんだ。




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