吸血鬼に甘い鎖を
『人の嫁に何してくれとんじゃあああ!!』


ドスッ。



鈍い音とともに降ってきたのは
おなじみのあの声。



いつもいつも助けに来る、
私の王子様。




「…クロト兄!!!」



「…お、王子…!

何をなさっているんですか!


陛下と【印】を結ばれているのでは
なかったのですか!?」


驚く騎士隊長に
嬉しげに笑う彼。




『…フンッ。

親父の儀式なんか付き合ってられるか。


俺はもう約束なんて
これっぽっちも気にしてねぇよ。


だから…』



トン。



「…よかった、クロト君…!!


よかったよっ…!!!」



『…咲…。


…悪かった、心配させて』



「…本当だよ!

勝手に私を一人に
しようとするんだから!」


ぐすっと涙を拭きながら
そう笑った。




クロト君も笑って
私の頬をなでた。



『…さ!

咲をいじめたこいつらを
どう処分しようかねぇ』


そして楽しげに
騎士の皆さんを眺める。






「…いや、いいよ。そんなの」


だって私…
そんな大したことされてないし。




まぁ捕まえられたときは
びっくりしたけども。




『だめだ!

おまえケガしてんだろが!』


そういってクロト君は
私の手首のアザを指差す。




さっき捕まえられてたときに
強く握られていたから
アザができてしまったみたいだ。



「こんなの、
全然気にする必要ないってー!」



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