吸血鬼に甘い鎖を
「…クロト兄は告白を
断りました。

その子は落ち込んで
国から出て行ったんですが…」



「…ひょっとして
その女の子が来たって…?」


リリーナさんはうなずいた。



「…おそらく…」


「でも、何のために…」



バタンッ!!!



「クロ兄さま!

なぜ逃げるんですか!?」


『知るかーッ!!』


そんなことを言いながら
飛び出してきたのは
クロト君と美少女。



…なんというか、
妖精といっても不思議じゃないほど
きれいな子だった。


水色の飴のような
きれいな髪に、
スラッとした体系。



そしてやっぱりきわめつけは
吸血鬼の証である赤い瞳。



「…きれーな子…」



「さ、咲さんっ。

この子です!さっき話してた!!」



…えぇッ!?



クロト君はいつの間にか
私の後ろに隠れている。




「…な、なにやってんのクロト君」


『決まってんだろ!

あいつから逃げてるんだ!』



…なんで逃げるの?



「会いに来てくれたんだし、
会ってあげればいいじゃん」



『んなのんきなこと
言ってる場合かっ!

あいつは俺を花婿に
しようとしてるんだぞ!』



…えっ…!?


さすがに耳を疑った言葉。


思わず美少女のほうを振り向く。



美少女は一礼して、





「はじめまして。

クロ兄さまを花婿に
もらいたくやってきました、

ティナといいます」
< 147 / 168 >

この作品をシェア

pagetop