吸血鬼に甘い鎖を
「…やれやれ、
クロトが連れてくるお客は
いつも騒ぎを起こすようだね」


今私たちはレンディアさんの
部屋にいる。



さっきのままだと話が進まず、
クロト君とティナさんが
走り回るだけなので

とりあえず落ち着いて話し合う
ことに決まった。



『…どういう意味だよ、それ』



「もちろんそのままの意味だ」



クロト君は疲れた顔で
私に寄りかかったまま。


他の人がいるから
やめてほしい!

って言ったのに
全然やめる気配がない。



時々目を合わせると
赤い目がくすっと笑う。




「それで、ええとティナ殿
だったかな。

クロトには何の用で
来たんだい?」


ティナさんは優雅に
髪を振って、



「さきほども言いましたわ。

クロ兄を花婿に
もらいたいんですの」



『絶対やだ』



「おまえの意見は聞いていないよ。


…しかしティナ殿、
すまないがそれは無理な相談だ」


ティナさんの赤い目が
曇った。


「なぜ!?

クロ兄はまだ花嫁を
もらってはいないでしょう!?」



クロト君がここで
大きな声を張り上げる。


私を抱き寄せて
自分のものだとでも
言ってるみたいに
言った。




『悪いが俺の花嫁は
こいつなんでね。


いくらおまえが言ったって
変えることはできない。

【契約】だからな』



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