吸血鬼に甘い鎖を

ティナさんはギッと
唇をかんで私をにらみつけた。


…こ、こわ。


あの目は怖すぎるよ…!!


嫉妬に燃える女の人の目だって…!!



「…なぜそんな女が!?

全く理解できませんわ!


人間じゃないですの!」



指を突きつけられ少し
怖くなる私。



だけどそれに反抗するみたいに
リリーナさんが言った。



「人間だから花嫁になれない
なんて決まりはないはずですよ。


それに、どちらにしたって
吸血鬼同士が相容れることは
ないんですから」



…そうなんだ。


じゃあどうしてティナさんは
クロト君にプロポーズなんか…。



「相容れはできなくても、
血族としてのつながり自体には
何の問題もないはずですわ。

子孫を残せなくたって
養子をたてればいいだけの
話ですし」


…相容れるって…。


そういう意味だったんだ…。



なんか複雑になりながらも
ティナさんの必死の思いが
伝わってきた。



『つーか、俺の意思を
尊重しろよ。



俺は咲と一緒がいいんだ。


おまえとじゃ絶対に
一緒なんて無理。


この違いくらいわかるだろ?』