吸血鬼に甘い鎖を
「で、どうするつもりなんだいクロト」



『…わかんねぇよ。

俺はただ咲を大事にしたいだけなのに…


王位とかティナとか
いろいろ問題でてくるしっ…!!』


レンディアはくすくすと笑って
クロトを見る。



「咲殿が人間であるという
時点でいろいろな問題は
起きるからね。


おまえはもっと大人に
ならないとね、クロト」




『…どういう意味だ?』



「体が大人になった…
というだけでは咲殿は守れないよ。


心も大人にならなければ
咲殿を守ることはできない。


今のおまえは我儘な子供だ」



『…俺はこれでも…!!』



その続きを言いかけた
クロトをレンディアは制す。




「…成長しなさい、クロト。

大切なものを守るというのは
そういうことなんだよ」



レンディアをしばらく見つめ、
クロトは気づいたように言った。



『…親父も、あるのか。

大切なものを守ってたこと…』


その言葉にレンディアは
笑った。




「過去形ではないよ。

今だって、守りたいものはたくさんある。



しかし昔の私があったからこそ
今になってわかることがあるのかも
しれないけれどね…」
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