吸血鬼に甘い鎖を
「えーと・・・」



論争を続ける二人にははは・・・と苦笑い。



やっぱり儀式あったのか・・・。
クロト君大変そう・・。



とぼーっと見ていればクロト君が私の肩を鷲掴んだ。



『な!?咲だって俺と一緒にいたいだろ!?
寂しくなっちゃうだろ?』



「へっ!?・・え、えーっと・・まぁ・・」



「咲さんを困らせないでくださいっ!
・・そうですね、こうなったらもう・・。
お兄さまに咲さんをお任せするしかありませんわ」



『はああっ!?!?』



思わぬ提案にクロト君から大きな声が上がった。




「交換条件、ですわ。
咲さんとデートしたいのなら公務を済ませること。
もしそれができないなら咲さんはそのままお兄さまとデート・・
ということになりますわ」


まぁ、私はそれでもかまわないんですけど、
と楽しそうに告げるリリーナさん。



『・・・』



「く、クロト君・・?」



だ、大丈夫かな?



とおそるおそる肩に手をかければ、
ぎゅっと抱きしめられた。




『・・悪ぃ。
俺、絶対早く帰ってくるから。待っててくれ』



「・・うん、わかった」



ほっとする彼の匂いに包まれながら、そうつぶやく。



身体を離せば、彼が微笑して私の頬に触れた。



『・・リヴィアに襲われるんじゃねーぞ』



「襲われないって。
リヴィア君はそんなことしないよ」



あははといえばクロト君はぶんぶん首を振った。


『信用ならねえから言ってるんだろうがっ!

あー・・やべえ、心配だ。
リリーナ!やっぱおまえ咲についてけ!』



「ええ?クロト兄、それじゃあデートの意味がありませんわ」



『うるせえーっ!
誰がデートだ、誰が!!

ただの買い物だ、買・い・物!!』



ぎゃーぎゃー騒ぐクロト君を見ながら、
再認識した。



・・・やっぱり私、クロト君が好きだ。



この人を、このあたたかい時間を、無くしたくない。




だから・・・



「・・頑張る」
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