吸血鬼に甘い鎖を
バタン、とドアを開けた先には
優雅にのんびりと紅茶を飲むリリーナ。



「咲様でしたら、お兄様とデートだと
言ったはずですよ」



『だから、その場所はどこだっつってんだよ!』



「クロ兄ってば、言ったら面白くないでしょう?
お兄さまにもイイ思いはしていただきたいもの」



私はお二方両方とも応援してますから、と
楽しそうに微笑むリリーナにぶちっとキレる。




『じゃあ俺がイイ思いできなくてもいーってのか!

いーかげんにしろ!
こうしてる間にも咲が襲われてたらどーすんだ!』



「襲われませんよ。
いくらお兄さまでも、人の彼女を奪うなんてことはしないでしょう」




『するから言ってんだろ!


咲は人間なんだぞ!
好きなヤツの血は何倍もうまいんだ!

そこらへんのやつと一緒にすんな!』



あいつは俺のモノなんだよ。






それを聞き、リリーナが嬉しそうににやりと笑って、




「あらあら、お熱いですわね。
咲様もこんなに想われてうらやましい」



『・・・リリーナ・・・・』



ゆらゆらと揺れ始めたオーラにさすがに少しびくりとして、
ふうと息を吐いた。




・・だめよ、咲さまは今デートに「行ったこと」に
なってるんだから・・・。



もし鏡の儀式に参加してることがバレたら・・・。




絶対、レースを妨害して大荒れにするにきまってる。




それを想像して再びはぁ・・・と息を吐いていると。




「俺だって、サキを思う気持ちは負けてねーと思うけどな?」




「え?」


『!リヴィア!』






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