吸血鬼に甘い鎖を
「…ん」



目覚めると、天井があった。



『起きたかよ』



「クロト…くん?」



ぼーっとする視界の中で
ゆっくりと声のするほうに
顔を向ける。





さっきの顔色とはまるで違う
クロトくんが、
優しげにこちらを見つめていた。






「…大丈夫…なの?」


なんだろう…
体が重いや…
ボーっとするし…


熱でもあるみたいな…





『ああ。
代わりにおまえが
倒れることになったけどな』


少し苦そうな表情。




でも私は首をふる。




「…ううん。
クロト君が元気で良かった…」



そっか・・
血を吸われたから寝てるんだ。




クロト君は
私のほうへ近づいてきて、
そっと頬へ触れた。






『…まだ熱があるな』




熱…。





はてなを浮かべる私に
クロト君が言う。





『おまえの身体がまだ
慣れてないってこと。

その反動で熱が出たり、
体が思うようにいかなくなる』






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