吸血鬼に甘い鎖を
「…寝てれば治るよ」



そうやって眠ろうとするけど
なかなか眠れなかった。





「…寝れないや」



クロト君がくすっと笑う。




「俺が寝るまでついててやる」



「…寝なくていいの?」



紅い瞳が笑う。




「いい。
俺はおまえが倒れることのほうが
つらいからな」



トクン…





「…クロト君の手、
あったかいね」



頬に触れてる手から
熱が伝わる。




「…おまえが冷たいんだろ」





そう言って、唇が触れた。





これは、
吸血鬼としてのキスじゃない。





大切にしてくれてる…
そんな思いが伝わる、キス。





「…嫌がらないんだな」





「…この状況じゃ逃げれないでしょ」



その言葉にハァと
ため息。



「おまえな、
そこで普通

『…クロト君のキスを、
嫌がるわけないでしょ』

とか言うんだよ」



言って欲しかったな~、


言ってくれりゃ俺、
今すぐにでも咲を喰っちまうのに。




そう言うクロト君。




「…喰っちまうって何」



にんまりと笑うクロト君。




「ん?知りたい?
なんなら教えてやってもいいぜ…
カラダに刻みこんでやるよ…」



そう言って首筋をなめるクロト君だが
私は手を伸ばす。






「ダメ。
やったらクロト君のこと、
嫌いになるからね」



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