吸血鬼に甘い鎖を
『…けど、咲の言うとおり
俺は…』



ドキン。




クロト君がすっと
私の髪に触れた。





『…咲のこと、好きだからな。
婚約者とか関係なく』



「そ、そーいうこと言って
私を誘惑してるでしょっ」




『してねーよ!
つーか咲、一瞬
クラッって来たんだろ?


やっぱ俺様のフェロモンに
やられちまったんだなー』



…そんなことないよ。





だけど一瞬
かっこよく見えたのは・・・




気のせいだもん。




『じゃ、ひとつだけ』





スッ。



クロト君の唇が
額に一瞬触れた。




『…寝ろよ。
ずっといてやるから』



握った手から
ぬくもりが伝わって、



もう少しこのままでいたいなぁ、と







思ってしまったんだ。






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