吸血鬼に甘い鎖を
『…咲』



ご飯の準備をしていると
聞こえてくる声。




小さな声が
部屋の端から聞こえる。






「クロト君?
ほら、食べなよ。

頑張って作ったんだからっ」



クロト君は微妙な顔で
まだ突っ立っている。




「だーから、
気にしなくっていいって。

たぶん私がまた
なんかやっちゃったんだよね!」


全然覚えてないんだけど…。





『…別に咲は悪くねぇよ。
ただ、無自覚なとこも
どうかと思うけどな…』





…??



クロト君はハァーッと
息を流しこむ。





「…ひょっとして、
柚王くんのこと?」






うなずかないけど、
たぶんそうなんだと思う。





…あぁー。



私も結構鈍だからな…
ヤキモチとか全然
わかんなかったや…






「大丈夫。
柚王くんとは何にもないよ」
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