吸血鬼に甘い鎖を
なんて言ったらクロトくんに
怒られそうだから言わないけど…



「さ、せっかくだからやろうか。
他のみんながいると、
やりづらい場面とかあるでしょ?」



「え?
…あー、うん。わかった」


王子様のように手を差し伸べる柚王くん。



その手をとって、
ダンスの練習を始める。



「む、難しいんだね、ダンスって」



「ハハハ。
大丈夫、僕小さいころに習ったから
リードしてあげるよ」



ぐっと急に引き寄せられて
ちょっとびっくり。



わわっ!?
み、密着しすぎじゃない!?




「七海さんてさ、
神崎くんのこと好きなの?」



えぇっ!?



そ、そんな直球に
聞かれるとなぁ…。




「…ごめん、困った?」



「そ、そんなことないよっ」



聞いてくれてよかったかも。


だって私自身も、最近そのことに
関しては逃げていたから。




答えが出せない、わからない。


なんて、クロトくんにとっては
一番つらい答え。



私なんかよりいいお嫁さん
見つけて、婚約する方法だって
あるはずなのに。


「・・わからないん、だ」
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