吸血鬼に甘い鎖を
ペタン…。



私はその場にへたり込んだ。




「おいおい、サキ!?
俺なんか悪いこと言ったかよ!?


別に王子のほうがいいんだから
いいじゃねぇか」


ま、俺は不満足だけど。



腕をくんで愚痴をこぼす。




でも私はそれどころじゃなかった。






「…ううん、そうじゃないよ」



王子だってことが
ショックだったわけじゃない…。




【言ってくれなかったこと】が
ショックだったんだ。




「別に言いたくないことも
あんだろ。


それにそのくらいの事情なら
言っても言わなくてもどっちでも
いいだろうし」



私は首を振った。



涙がぽろぽろ流れる。



「…ううん、そうじゃないよ。

でもなんか…」


なんでかわかんないけど
悲しくて…。





複雑な気持ちが渦巻いて
言葉にできない。




涙が止めどなく
あふれてきてとまってくれない。




「…ふっ・・・う・・・」





クロト君…!!!!
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