吸血鬼に甘い鎖を
するといきなりクロト君は
立ち上がった。




そして私に向かって一礼する。




『…リアラ姫様。

一曲お相手願えますか?』



ドキンッ…。



り、リアラって…!!!



演技の口調でそう言うクロト君。





でもこんなシーンはひとつもない。



本当にあるのは、
セウとのダンスシーンだけ。




手を差し伸べながら、
ウインクしてにやっと笑うクロト君。




「…~っ」



しょうがないなぁ、



そう思って手をとった。




するとクロト君は私を抱き寄せて
ステップを踏み始める。



曲は一切かかっていないのに、


なんだか不思議な気持ちだった。





見上げるたび
クロト君の赤い瞳と目が合う。




その背後に月がかかっていて、
なんだかとっても絵になっている。
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