吸血鬼に甘い鎖を
クロト君が私を抱きしめる。



吸血鬼らしい大きな闇色のマント。



それで私を包んでくれていた。



『…花嫁を疑うなんて、
俺もまだまだだな』



そうつぶやいて、
額に小さくキス。



私の涙を手でぬぐい、
それをぺろりとなめた。




「・・知らないもん、クロト君なんて」



私、まだ許したわけじゃないよ??



ぷいっと横を向くと、
クロト君がはぁっと息をつく。




『…悪かった。

咲が簡単に俺以外を
好きになるわけなかったよな。


リヴィアは結構モテてたから
すっかり忘れてた』



かちん。


「あのねぇっ!

私は別にクロト君が
かっこいいから好きになったんじゃないのっ!」


おまけに、何!?


そんな自慢げに言わなくても!



あれじゃあまるで、
私がクロト君を好きになるのが
当たり前だったみたいじゃん!!





『…咲??』


なんでまた怒りなおしてんだ。


そう言いながら私の顔を見ようとする。
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