恋に目覚めたシンデレラ
切れ長の目にストレートの黒髪。
少年っぽさを残した顔立ちは整っていていわゆるイケメン、目の前の男性を見上げて呆然としてしまった。
昨日からおかしな事ばかり。
美術館で男性に声をかけられその人と食事までした。
それから……
今、目の前にはイケメンが……私に微笑んでいる。
あ~なんだかクラクラしてきた。
「あの……」
「どうしましたか?」
どういう事なのかさっぱり解らないし……色々と訊きたいことはあるけどその前に……。
「トイレっ、貸してください……」
言うのが恥ずかしかったけどもうムリ。これ以上我慢できない。
「トイレですか?この部屋を出て突き当たりを右に曲がれば直ぐあります」
「すみませんっ、お借りします」
言われた通りに部屋を出て進むとあって駆け込んだ。
数分後。
やっと落ち着いて手を洗うついでに洗面室で鏡を見て先ほどとは違う恥ずかしさにまた落ち着かなくなった。
「うわぁ……ヒドイ……」
肩までの髪はいかにも寝起きだというような乱れていて2ヶ所ほどピョコンとはねている。
この頭と寝起きの浮腫んだ酷い顔をさっきのイケメンに見られてしまったんだ。
とりあえず水を髪に付けて押さえたら、ましにはなったけど。
いつまでも、ここに閉じ籠っているわけにもいかないと廊下に出て戻るとイケメンはいなくなっていた。