恋に目覚めたシンデレラ
煩う
普段通りだった……車に乗るまでは。
いつもなら車内で多少の会話をするけど今日は隣に座る晃はずっと窓側に顔を向けていて葵を避けているような感じだった。
何とかしたいと思い何度か話しかけようとしたけど、その度に否定されたらと思うとて結局何も出来ず会社についてしまった。
車が止まるとやっと葵の方に顔を向け「また帰りに」そう声を掛けられたけど。
いつもの笑顔がなく掛けられた言葉もよそよそしくて泣きたいような気分になってしまい。軽く頷くだけで言葉も返せず車から降りた。
やっぱり晃さんと話そう。
私が悪いなら理由を聞こう。
停まっている車まで行くと葵に気づいた三枝が降りてきて後部座席に回り開けてくれた。
車の中に乗ろうとして思わず声をあげてしまった。
「あれっ……晃さんは乗ってないんですか?」
「西園寺様は今日は仕事で帰りが遅くなるそうです。葵様だけ先にお送りするように言われています」
「そうなんですか。私を送った後また晃さんの会社まで戻るんですよね。大変なのにすみません。連絡もらえたらタクシーで帰ったのに」
「いいえ、葵様をお送りするのは私の仕事ですのでどうかお気になさらずに」