恋に目覚めたシンデレラ
「今、何時だろ?」
さっきまでいた部屋に戻ってバッグを探したけど無かった。
どうしよう……もう会社が始まってるかも。
あっ……今日は休日だったっけ。
でも、バッグがどこにあるか解らないしスマホはバッグの中にあるはず。
あのイケメンを探して訊かないと。
また部屋を出て今度は反対方向に進んでみる。階段があってその先には部屋が幾つかあった。そっちの方向に進んでみることにした。
直ぐにこの家が広いことに気づいて驚いた。
……広い家、階段も何段もあったみたいだし豪邸ってきっとこういう家のことを言うんだろう。
それにしてもこんな広い家に住んでるなんてあのイケメンは何者?
「トイレはすみましたか?」
「うわぁっ!?」
突然、後ろから現れて驚いて変な声を出してしまった。
てっきり、さっきのイケメンかと思って振りむくと美術館で送ってくれると車に乗せてくれた黒ぶち眼鏡の男性だった。
「あの……さっきのイケメンさんはどこですか?」
「……は?イケメンですか」
黒ぶち眼鏡の男性は眉間にシワを寄せて意味が解らないって顔で首を傾げている。
さっきのイケメンは幻だったとか。
考えてみたら起き抜けで 半分寝ぼけてたのかも。
いいえっ、やっぱりいたんだと思う。
倒れそうになったとき受け止めて貰ったもの。
あの人の手の感触は幻なんかじゃなかった。
体を支えてもらったときちゃんと人の温もりが感じられた。
そういえば話し方がこの人に似てる気がする。さっきの人も丁寧な感じで話してたっけ兄弟かも。
さっきのイケメンの方が若そうだったからこの人はお兄さん?
「さっき、私を起こしに来てくれた男の人のことです。
多分あなたの弟さんだと思います……」
「弟なんていません。さっきあなたの部屋に行ったのは俺です」