恋に目覚めたシンデレラ
あのとき……矢嶋くんの力が強すぎて振り払う事が出来なかった。滉さんがいなかったらあのまま抗いきれずに矢嶋くんにいいようにされていたかもしれない。
自分がどんなに非力なのか思い知らされた。
近付くなって言われていたのに結局は滉に嫌な思いをさせてしまったと罪悪感で胸が痛い。
豪邸に着くと先におりた滉はさっさと玄関の方に行ってしまった。
「葵様、何か西園寺様とあったんですね?」
「……私がダメなんです……滉さんに不快な思いをさせてしまったから怒らせてしまったんです」
「そんな事はないと思いますよ。今だって」
「えっ」
三枝さんは玄関の方を見るように身ぶりで指し示した。
滉さん……。
「どうして来ないんですか。そんな所にいつまでも立っていて……家の中に入らない気ですか」
「嫌っているならあんなふうに気にはしないですよ。行き違いがあったならよく話し合って誤解を解けばいいんです。早く西園寺様と仲直りして下さい」
話し合う。
でも、私とは話したくないかも……。
「葵様、早く中に入った方がいい。このままだと私の方にとばっちりが来そうです」