恋に目覚めたシンデレラ
「……ごめんなさい……」
掠れた声で謝った葵の目からはうっすらと膨れ上がる涙。
それは次第に溢れだして頬を伝わり流れていく。
追いつめてしまった。
堰を切ったように泣き出した葵をたまらず抱き締め。
涙を見た瞬間怒りは鎮まってしまった。
泣くな……こっちまで苦しくなる。
「葵さん……泣かないで下さい……」
腕の中で肩を震わせて泣いているのは愛しくて何よりも護りたい存在。護りたいのに泣かせてしまった。
彼女の背中を宥めるようにさする。
数時間前、あそこに立ち寄ったのは葵を連れ帰るつもりだったから。
二次会に出たいと彼女は言っていたけどやはり心配だった。
それに昨夜、電話で話してから声だけでは満足できなくなっていた。
三枝に車を待機させるように言い車から降りると見知った顔の女性が出てきた。
葵の後輩の長谷川沙織。
「長谷川さん」
「あっ!西園寺さん。葵さんををむかえに来たんですか?」
「そろそろ終わる頃かと思って来たのですが葵さんはまだ中に?」