恋に目覚めたシンデレラ
「倉橋!!」
彼女とダーツを楽しんでいるところに割って入ってきたのは矢嶋だった。
「ちっとも来ないし……楽しんでるとこ悪いけど今、いいか?」
「滉さんちょっと待ってて下さい」
矢嶋はチラッとこっちを見たが直ぐに目を逸らし葵を連れて行ってしまった。
あの目……気になる。
わりと勘はいい方だ。
何かを仕掛けてくるそんな予感がした。
二人が行ってしまってからまだそんなに経ってないがどうしても気になりとりあえず移動した。
カラオケルームの近くに来ると微かに人の話し声が聞こえた気がして進んだ。
「葵さん……」
頭の中に警鐘が鳴り心臓が早打ちし始める。
足早に近付くと葵は矢嶋に体を抑えられていた。
必死に抗っている姿が映る。
咄嗟に矢嶋の肩を掴むと引き剥がした。
「俺の婚約者に勝手に手を振れないで貰えますか?」
「お前……離せっ!!」
掴みかかろうとした矢嶋の襟を掴み壁に抑えつけた。
かろうじて間に合ったが平常心ではいられない。