恋に目覚めたシンデレラ
葵には近付くなと矢嶋に警告をした。
これ以上、この場所に葵をいさせたくない。
帰りの車の中、葵を一人で行かせてしまった自分に、無防備な葵に矢嶋にと怒りが消える事はなかった。
何も話さない方がいい……きっと責めてしまう。
葵がショックを受けたことは充分解っている。
だからこそ追いつめたくはない。
口を閉ざしわざと外に意識を向け怒りが治まるのを待った。
家に着くと必死に抑えていたものは一気に吹き出してしまった。
彼女は泣き出してしまい……
やはり葵に対しては非情にはなれない。
「わたし……っく……滉さんがどうして矢嶋くんにこだわるのかずっと解らなかった。でも滉さんはああなるかもって解っていたんですよね」
「解ってたら今日は葵さんを行かせたりはしなかった。あなたは気付かなかったようですが彼が好意を持っているのは分かっていました。だから何度も警告をしたんです」
「矢嶋くんの気持ちには全然気づかなかった矢嶋くんに誉められていい気になってそのあとに何が起こるかなんて思いもしなかったバカみたい……」
「葵さん」