恋に目覚めたシンデレラ
翻弄される
……っ!!
葵は後ろから声をかけられて飛び上がりそうになった。
ビッ、ビックリしたぁ……
全然、足音聞こえてこなかったんだけど。
落ち着くために1つ深呼吸してから振り向くと。
「……おはようございます。滉さんも起きるのが早いですね」
まだ寝ていると思ったのに……
もう~鉢合わせなんて不意打ち。
葵はまともに顔を合わせられなくて俯きながら挨拶をした。
「もう暫く寝ていても良かったんですよ。
これから30分ほど外に出て来ますが良いですか?」
「出るってどこに行くんですか?」
こんな早くにどこに行くのか気になってしまった。
「走って来ます」
「走る……んですか?」
「学生の頃から毎朝走っているのですが習慣化してしまって走らないと却って調子が出ないんです」
毎朝走っているなんて凄い。
滉さんて体力より知力の人かと思ってたけど違っていたらしい。
「小野寺さんが6時頃来ると思いますが葵さんは7時にキッチンに来て下さい。その時に彼女に紹介します」
「七時にキッチンですね、解りました」
「葵さん」
「はい?」
「葵さんは凄く可愛いですね」
「はい?」
一瞬耳がおかしくなったかと思った。
可愛い……なんて
この人は何を言っているのか。
寝起きの顔など可愛いわけない。
滉さんは可愛いといつも女性に言っているのだろうか。
「何か機嫌が悪くなるようなことを言ってしまいましたか?」
「可愛いなんて……社交辞令ですよね」
「あなたは本当に可愛いですよ」
「なっ、何言ってるんですか……からかわないで下さい」
「からかってなどいません。もっとご自分に自信を持ったらどうですか、それでは行ってきます」