恋に目覚めたシンデレラ
「理由ですか……葵さんに惹かれたからに決まっています。それより気になるのは物珍しかったか?と言うあなたの言葉です。逆にどういう事か訊きたい」
「きっと滉さんが今まで交際していた人達って上流階級にいるような人達とか綺麗で自分に自信があってキラキラ輝いてるような人達なんだろうなって。私は違う……今はそうでもきっと私に飽きます」
晃の表情は段々と険しくなっていく。
「俺をバカにしているのか?」
いつもの丁寧な言葉遣いではなかった。
「心外だ、見かけや階級で人を選ぶようなそんな男だと思われていたとは。あなたに惹かれたのは一時の気の迷いなんかじゃない自分から想いを寄せたいと思ったのは葵さんが初めてなんだ」
滉の剣幕に何も言えずに暫く沈黙が続く。
「前に交際していた方達の事が気になるのならお話しします。父の言いつけで会社を継ぐからには結婚をと言われて何度か見合いをしました残念ながらその女性達とは合いそうもないと直ぐに分かり断りました。
お見合いの後日、断ったことに異議を唱えにここに来た方や何故か押し掛けられて無理矢理泊まって行った女性もいましたが……その方には2度と来ないようにと約束をしてもらい翌日帰って貰いました」
その人と一晩過ごした……。
「勿論その女性とは体の関係などないです。念のため葵さんには知っておいて欲しいので」
「滉さん、ごめんなさい」
「何について謝っているのですか?」
「さっきの……」
「葵さんは覚悟しておいた方が良い。あなたを逃がすつもりはないから」
「滉さん……」
「そんな困った顔をしないでください。あなたを知ったのは一年ぐらい前なんですよ。ずっと気になっていました、やっと声をかけることが出来て今はあなたとこうして……」
気付かなかった一年も前から晃さんが私の事を知っていたなんて。