恋に目覚めたシンデレラ
「これから友人のやっているレストランに食事に行くのですが良かったら一緒にどうですか?」
「……レストランですか?」
今日会ったばかりで美術館を一緒に廻っただけの人に送られて更にレストランに行こうと誘われるなんて普段ならあり得ない。
舞い上がってあとでがっかりなんて事にならないように冷静にならないと。
お食事の話しは断って駅で降ろしてもらおう。
「すみません。せっかく誘っていただいたんですけどお食事はご遠慮させて下さい。駅で下ろして下さい」
「警戒する必要はありませんよ。食事をする相手がほしいだけなんです。一人の食事は味気なくて……もう少し付き合ってもらえたら嬉しいのですが?
強引なのは承知しています。
でもせっかく知り合いになれたんだからあなたと話しがしたい相手が俺では不足ですか?」
葵は返事に困った。
私など誘ったところで男性と付き合ったことのない自分は相手を楽しませるような会話などできないだろうし……物足りない思いをさせるのは自分の方なのだから。
「私が一緒に行っても退屈すると思います」
「退屈なんてするわけない。俺はあなたと行きたい付き合って貰えますね?」