恋に目覚めたシンデレラ
滉に座らせて貰い何もすることのない葵は頬杖をついてテーブルの上のものを片づける晃をぼんやりと見ていた。
「フフ、滉さんて本当にかっこいいですね」
「なんですか急に」
「それから優しくて素敵で……」
「相当酔ってますね。さあ立って下さい部屋まで行けますか?って寝てるじゃないですか!本当にあなたは……」
微かに晃さんの声が聞こえて唇に柔らかいものが触れた気がしたけど重い瞼は持ち上がらずそのまま夜中まで目を冷ますことはなかった。
胃のムカつきを感じて起き上がった。
「やっと覚めましたか?」
「滉さん……」
眼鏡を外した滉はお風呂から出たばかりなのか髪も洗い立てのような湿った感じで無造作になっていて肩にはタオルがかかっていた。
「ここは……?」
「俺の部屋ですよ。葵さんはキッチンで眠ってしまったんです。片づけたら部屋まで連れていこうと思っていたのですが眠ってしまわれたので暫くここで休んで貰いました。葵さん!!」
「うっ……」
吐き気を催してぱっと部屋を飛び出しトイレに走った。
「大丈夫ですか?」
優しく背中を撫でられた。
やだっ……こんなみっともない所を見られたくない。