恋に目覚めたシンデレラ
「大丈夫で……うっ……一人で平気だから……」
「意地を張らないでこんな状態で一人にはできないです」
「お願い……見られたくないんです」
「いいから」
予想以上の気持ちの悪さにもう抵抗すらできなくなった葵の背中を吐き気が治まるまでずっと撫でてくれていた。
「落ち着きましたか、口をゆすいだ方がいいですね歩けますか?」
頷き言われるままにして戻って来ると。
「もう暫くここで休んで下さい」
この部屋のベッドで休むように言われた。
「大丈夫です。これから自分の部屋に戻ります」
「ここにいなさい。もう暫く休んで落ち着いたらシャワーを浴びればいい」
酔って滉さんにこんな醜態をさらして情けない。
「晃さんごめんなさい。……迷惑かけて」
「気にしなくていいんですよ。俺は葵さんが苦しい思いをしているのを見たくない。迷惑もかけられた覚えはないです。暫く寝ていれば落ち着くかもしれませんね俺はあっちにいます」
晃は続き部屋に行こうとした。
「晃さん、近くにいてください」
葵は急に不安になり滉を呼び止めてしまった。
「解りました」
ベッドのわきに椅子を持ってきて座り葵の右手をそっと握ってくれた。
「暫くここにいます。どうぞ休んで下さい」
晃さんの手は大きくて力強くて傍にいてくれることに安心してそのまま目を閉じた……。