恋に目覚めたシンデレラ
「どうした?あれって……お前がいつも乗ってる高級車だな。タクシーで帰るんじゃなかったのか?」
矢嶋も車に気づいたようだ。
「そのつもりで連絡はしておいたんだけど……」
車から降りた滉はこっちに向かって歩いて来たが殺気のようなものを感じて葵は一歩後ろに後ずさった。
滉さん……なんか怖い。
「なんかこっち睨んでるな。あいつって倉橋の何?
すげぇ殺気立ってるの解る。巻き添えは喰いたくないし俺は行くわ」
「ちょっと、矢嶋君!」
矢嶋は逃げるようにタクシー乗り場の方に走っていった。
一人取り残された葵はさらにもう一歩下がろうとしたとき……。
目の前に来た滉に腕を掴まれてしまったちょっと乱暴な感じに驚いていると。
「終わったんですか?それなら帰りますよ」
晃さんは不機嫌オーラを全身に放ちながら私を車に乗せた。
車内は重い空気のまま家に着いた。
滉は車から降りると出迎えた小野寺に「これから葵さんと大事な話しをしたいのでいつもの時間になったら声をかけずに帰ってもらって構いません」と声をかけた。
「葵さん一緒に来てください!」
滉の剣幕に返事もできずに葵は後を着いていった。
2階に上がるとゲストルームの一つの部屋のドアを開け先に中に葵を入れて直ぐに自分も入るとドアを勢い良く閉めた。