恋に目覚めたシンデレラ
家につくとやはり無言のまま滉は部屋に入ってしまった。
仕方なく葵は自分の部屋へ。
ラフな格好に着替えるとある決心をして滉の部屋に行くために階段を下りた。
これでダメならここを出ていこう。
次に住む所は会社から離れた場所でも構わない。離れた場所ならきっと直ぐに住めそうなアパートは見つかる。
滉の部屋のドアをノックするとどうぞと中から声が聞こえた。
葵はゆっくりとドアを開け入る。
「葵さん……」
「話しをさせてください」
「さっきは大人げない態度を取りました、嫌われても仕方ないですね」
「嫌いになんてなりません。滉さんは優しくて素敵な人です。これが最後になるかもしれないから言わせてください。
私は滉さんのことが好きです。
できればこのまま、ここに居たいです」
葵は一旦、話すのをやめて滉を見たが何も言わずに葵を見ているだけだった。
滉さんはもう……。
「なるべく早くここを出て行くようにしますね。アパートは自分で探すから大丈夫です」
葵は出ていこうとした。
「待って!待ってください。どうして出ていこうとするんですか?」
「どうしてって……」
「俺のことを想ってくれているのに出ていくんですか」