夢遊病

「ありがと♪お父さん。」

奥からキャピキャピした声が聞こえてきた。

「…美奈子。」

「ゲッ…お姉ちゃん。」

妹の美奈子がサッと後ろに隠したものは、見なくても分かる。

「またお父さんにお金借りたの?
先月借りたお金は?返したの?」

「あ〜〜もうっうるさいなぁ!」

煩わしそうに私に向かってくる。

ぶつかりそうになったのを避けて、私は言った。

「美奈子!あまりお父さんに頼るのはやめなさいよ。」

「うっさいなぁ…。
自分がお父さんに嫌われてるからって当たんないでよね!」

バンッ!荒々しくドアを閉め、美奈子は出て行ってしまった。

苛立ちは増すばかり。

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