藍色の瞳




「だろうね」






その答えに満足した俺は少し微笑んだ後、






「お先に失礼します」






そう言って立ち上がり、今まで柊雅と2人きりだったその部屋を後にした






「……ふっ」






部屋の扉を閉め、一階のBERへと続く階段を降りながら無意識に漏れる笑い






やっと柊雅が変わるかもしれない






あんな楽しそうな柊雅は初めて見たから






……蜜ちゃん…次第だね






「はーい」













BERの扉を開けようとした時、中から聞こえてきた生意気な弟の声






……確かアイツは今1人だと思うんだけど






「あれ?どちら様?新だけど」






……あぁ、電話か

…女と






新の女事情なんて構ってられない






“静かにドアを開ける”なんて気の利いたことを俺がするはずもなく






バンッ






勢いよく開けすぎて思ったより音を立ててしまったせいで、少しだけアイツに睨まれた






でも、電話から聞こえてきたであろう声を聞きヘラヘラした表情を消した新






『その声……もしかして』






……誰だ?






女用の携帯で電話してるのを見る限りloupの連中ではないはず






「あー、カクテル1つ」






新とは離れた席に座り飲み物を注文した俺は、しばらくアイツの様子を伺っていた






そして、数秒後






『ふっ…お前か…、久しぶりだな』






!?






聞こえてきた我が弟の口からは聞いたことのない柔らかな声に耳を疑った






「……マジかよ」






その言葉の後も素っ気ない言葉を返しながらも表情は緩んでいるアイツ






「あぁ、俺今シンっつってた?」








「あ〜、ごめんごめん。
こっち女用の携帯だからさ、シンで通してるってわけ。

お前もどうせ偽名だろ?」






おいおい…誰だよ






遊びの女じゃないのか?






新が…ね






電話をしている雰囲気から遊びの女ではないということが分かった俺は、少し興味を持っていた







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