藍色の瞳




◆◆◆◆◆





「行くぞ」






「承知」






柊雅が車に乗る時はほとんど俺が運転する






「まずはヒロの店だ」






「承知」






目的地を伝えられた俺は出来る限り車を飛ばす


もちろん安全運転で






「若、食事は?」






人通りが多い今は午前1時過ぎ






まだ俺達はお昼ご飯を食べていない






「後回しだ」






「華さんのところで召し上がっては?」






華さんとは『桃愛』というキャバクラで働くNo.1キャバ嬢






柊雅に好意を抱いているのは丸分かりだけど、貴重な情報源となる女性で今日会う人物の1人でもある。






…柊雅が行けばメニューにはない食事でも何でも出してくれるからな






「……あの店で長居するつもりはねぇ」






低く唸るような柊雅の声は、「華さんへの苦手意識」を物語っていた






「ですが他で食事をするなら多少の時間がかかると…」






「……チッ
『桃愛』でいい」






意地でも食事時間を短縮したいらしい柊雅






そんな柊雅は俺の提案を受け入れるしかなかったらしく






「承知」






少し機嫌が悪くなったことに(失敗したな…)と後悔しながら運転に集中した






チラっと歩道側を見ると道行く人々のほとんどがこの車に視線を向けている






きっと朝から繁華街を見回りさせている組員の姿を見て、今日俺達が来ると知ったんだろう






ただでさえ人通りが多いこの時間






後ろで眠ってしまった男のせいで繁華街に向かう道は更に混雑しつつあった






……サツが来る前に着かないとな






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