藍色の瞳





「チッ」






赤に変わった信号機を見て思わず俺の口から舌打ちが出る






ブレーキを踏んでゆっくりと車を止めた瞬間に携帯が音を立てた






「はい」






若干イラつきながらも電話に出ると、申し訳なさそうな声が聞こえてきた






『…悪りぃ、理玖兄』






「…何」






『元Serpentの連中が俺たちの領域で勝手な事してたからさ、ちょっと暴れちまった』






「処理したの?」






『あぁ』






「ご苦労様」






『…それが…

派手にやりすぎてサツがこっちに向かってるみたいなんだよ』






「……はぁ?」






先に出て行った新は勿論今繁華街にいる






そしてそこにサツが向かっている






俺達が向かっているのも同じ場所






「…何やってんだよ…」






『悪りぃ』






助けるとか言ってたくせに余計なことしやがって






「お前、帰ったら一発殴らせろよ?」






「いいのかよ、それだけで」






…そりゃあ多少は動きにくくなるけど






「サツが居ても居なくても関係ないよ。柊雅が捕まることはまず無いしね。」






『…それもそーだな』






「これ以上ヘマすんなよ。喧嘩するときは一発で気絶させろ。」






青に変わった信号を見て、片手でハンドルを握りながらアクセルを踏む






『…理玖兄じゃねぇーんだから簡単に言うなよ…」






そんな呆れた声と共に






『シン〜、誰と電話してるのよぉ〜!
早く行こぉ〜?』






俺の耳は受け付けられないような甘ったるい女の声がスピーカーから聞こえてくる






……やっぱり女と居たか






そう思いながら俺は、再び女の声が聞こえてくる前に通話を終了させた






< 111 / 139 >

この作品をシェア

pagetop