藍色の瞳





「……うるせぇーぞ」






テンションMAXの興奮状態である彼女と、凄みのある低い声を出している不機嫌な柊雅






ハタから見た2人の温度差は激しかった






「いいじゃない!久しぶりなんだからっ!」






物凄く嬉しそうな彼女は柊雅の傍に立っていると言うものの

抱きついたり

腕に絡んだり

手でそっと触れたり

など、触れる事は一切しない






それはこの2人が特別な関係でないことを物語っていた






「今日、もしかしてお店に来たり…」






「しねぇーよ」






「……なーんだぁ。残念」






彼女の言う“お店”とは、少し前車内で昼飯をとる場所に決まった『桃愛』






そして、なぜこの女がその店に柊雅を来させようとしているのかと言うと






「お前こそなぜこんな所にいる」






「私今日は夜からなのよ〜」






この人こそが柊雅に好意を抱いている『桃愛』のNo.1キャバ嬢“東城 華さん”だからだ






「ところで~
何か用事??」






店以外で柊雅に会えること自体滅多にない上に、話しかけてもらえた華さんは“嬉しい”オーラがダダ漏れている






「うん。
今日は松永組とSerpentの事について聞きに来たんだ。」






柊雅の代わりに華さんに近づいてそう答えると






2人の会話を邪魔されたのが嫌だったのか、頬を膨らませぶすっとした表情で俺を見た後






「あぁぁぁーーー
アイツらねぇ~…」






呆れたように大きく息を吐いた






……何か情報がありそうだな






「………」






黙って待っていると






「あいつらねぇ~
『桃愛』に来てめちゃくちゃにして行ったのよ!!」






さっきまでの幸せオーラは欠片もなく






怒りを顕にして悔しそうに吐き捨てた






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