藍色の瞳



◆◆◆◆◆




華さんの話を聞いている間、ずっとムズムズしていた






早く追いかけないと






早く誤解を解かないと






でも柊雅の傍を離れることなんて出来なかった俺は、おとなしく華さんの話を聞いているしかなかった






「…理玖、行き先を告げろ」






だから、華さんと別れた後、すぐに柊雅に頼んだ






『単独行動させてほしい』と






「……繁華街から離れるつもりはありません」






行き先など決めてなかった






ただ、“那夏”であった蜜ちゃんが居そうな繁華街を闇雲に探そうと思った






「…18時までには連絡して戻れよ」






「承知」






深く問い詰める事をしなかった柊雅は俺に背を向けて歩いていく






「若!」






それを呼び止めたのは、どうしても聞きたいことがあったから






「…あ?」






いつの間にか煙草を加えていた柊雅は顔だけこちらに向ける






「なぜ…あの時華さんを支えたんですか?」






他人が聞けば、なんて酷い質問だ。と思うだろう






倒れそうなのを支えた…そんな当たり前の事をしただけなんだから






だけど、柊雅は違う






「なぜ…華さんに触れたのですか?」






純粋な疑問をぶつけた俺に、柊雅は一瞬だけ寂しそうに薄ら微笑んだ






「蜜と重なっただけだ」






「!!!?」






驚いた表情の俺を無視して、今度こそ歩いて行ってしまった柊雅






……なるほど…な






これはますます誤解を解かなければならなくなった






何となく柊雅の気持ちが分かった俺は






「そういえば、華さんの髪もミルキー色だったな…」






と呟きながら、柊雅が行ってしまった方に背を向けた






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