藍色の瞳





外はBARに入る前よりも肌寒くなっていた






時刻は夜の7時






結構長い間居たんだな






1時間なんてものじゃない






何時間寝てたんだ?私は






そういえば、身体が痛い気がする






「……もう捨てられるかなー」






私が部屋に居ないことなんてとっくにバレてるはず






戻っても、もう入れてもらえないかもしれない






…私の代わりのオモチャが

誰か他の女の子が連れてこられるかもしれない






……とりあえず、戻るだけ戻ってみようかな…






重い足を上げ、帰ろうとした時






「那夏!」






ショルダーバッグを下げてこちらに走ってくる新が見えた






さっきBARに入ったばかりの彼はもう出てきたのだろうか?






「何?私忘れ物でもした?」






「ちげぇーよ。
お前…さんざん俺の話遮りやがって」






ちっ…バレちゃってたか






「別に新に話すことなんて何も無いもん」






「そんな事俺に言う女、お前ぐれぇーだぞ…」






不機嫌な顔を向けると、新はめんどくさそうに頭の後ろに手をやりグシャグシャにした






「それは光栄」






これ以上話す気がなかった私はニコリと貼り付けた笑顔を見せ、新に背を向けて歩き出した






なのに…






「帰さねぇーっつっただろ」






「…しつこい」






グイッと腕を掴んで引き止めた新






流石に鬱陶しく思い睨みつけるも、新が怯むわけなかった






「答えろよ。

…お前、何があったんだ?
最近繁華街にも来てなかったみてぇーだし」






「……」





「答えるまで離さねぇーからな」






しつこくてイライラする






スネに蹴りを入れて逃げることも出来るけど、そんな事したら今度会った時にめんどくさそうだ






「……はぁ」






……なんで






「なんで、そんなに気になるわけ?
この前みたいに無関心でいればいいのに」






「お前がおかしいからだろ」






「おかしい?私が?」






「…気づいてねぇーのかよ」






そりゃあ負の感情のループを繰り返していたのは確かだけど






「だとしても新に関係ない
話す必要なんてないよ」






……そんなに私達、深く関わってない……ハズ






そんなに相手のこと知りたがるなんて、この前の新じゃ考えられない…






「私が何もないって言ってるんだから何も無いの。
分かったらこの腕離し……」






「関係あんだよっ!」






「!?」






「俺にも関係あんだよっ
話す必要あるんだよ!」






「……は……?」






「…っ

知りてぇーから関係あんだよ

お前のこと、知りてぇーからっていう理由じゃダメなのかよ?」






「何言って………ん!?」






言葉の意味を理解出来ていない私の腰に腕が回され、あっという間に2人は密着する






次に感じるのは唇の温もり






視界に広がるのは新の綺麗な顔






「………」






ねぇ…今…何してるの?







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