藍色の瞳
しばらく私を見下ろしていた男は一瞬私の身体を浮かせたかと思うと、自分の股の間に下ろした
……確かに前向きだけど…
「そういう事じゃなくてっ…」
「うるさい
……寝るから黙ってろ」
反抗する声を遮り、長い腕を私の身体に巻き付けたかと思うと
「………すー…」
頭に顔を乗せられた状態で寝息が耳に入ってきた
……なんで
男の人とこんなに密着することなんて慣れてるはずなのに…
……なんで心臓の音が収まってくれないの?
寝ている彼を起こしてしまうんじゃないかと思うほど激しく音をたてる心臓
きっと赤面しているであろう私に優しい声がかけられた
「ごめんね?」
「……え?」
前に視線を向けると、助手席に乗っている人が振り返っている
「疲れてるんだ、最近忙しかったから」
「はぁ…」
……助手席にも人がいたなんて気付かなかった
「僕達は君を殺そうとも、どこかに売ろうとも思ってないよ」
!!
さっきまで考えていたことがバレているような言葉に一瞬身体が跳ねる
「自己紹介…でもしたいところだけど、若が寝ちゃったからね…
君も着くまで寝ていて良いよ」