藍色の瞳





ゴッッ!






‼︎⁉︎






“若”と呼ばれる人の頭をグーで殴ってしまった






「………」






殴られた本人は無反応だけど、私を抱きしめる力が弱まったから目が覚めたんだと思う






「お目覚めですか、若」






「……」






「若の目覚めが悪いのは今に始まった事じゃないので慣れていますけど……
他の人に迷惑はかけないでくださいね?」






私が言われているわけでは無いのに、その声色にゾクッとした






「行くぞ」







話を聞いていたのかいなかったのか、私の腕を掴んで車から降りる黒スーツの人






引っ張られるように早足で歩きながら決心した






殴った時から終始笑顔だったあの人は絶対に怒らせないようにしようと…






「那夏…」






「え…」






低いけどどこか穏やかな声に顔を上げる






「入れ」






そう言われて気がついた






ピカピカのマンションの【5018】と彫られたプレートの前に居ることに






「…あの、ここは…?」






「入れ」なんて言われても「はい分かりました」って入れるわけない






ましてやこんな高級そうなマンションの50階にある部屋に






「いいから入れ」






「でも私自分の家に帰らないとっ…」






ここで帰してくれないことは分かりきっているけど、これが精一杯の抵抗






そんな抵抗も虚しく






「え⁉︎……ちょっと…」






腰に手を回され、強制的に一緒に中に入ってしまった






ど…どうしよう…






今更襲ってきた恐怖

これから私は、この気絶しそうなほど威圧感のある人に何をさせられるんだろう…






ズルズルと部屋の奥に連れて行かれた私は





ぼふっ


「……おふっ‼︎」





広くて柔らかいソファーに放られた




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