藍色の瞳
×理玖side×
「若‼︎」
いきなり車を降りどこかへ行ってしまった若
俺が見つけた時にはもう遅かった
「………や……」
首を絞められ壁に押し付けられている女の子は苦しそうに呻き声を上げる
その子が誰なのかは一瞬で分かった
街灯が、若の真っ黒な髪と女の子の髪を照らす
2人の美しい顔はどこか苦しげに歪んでいて
「……」
若を止めることを忘れ、不謹慎にも綺麗だと思った俺はただただ見入っていた
でもそれだけじゃなかった
「っ⁉︎」
首を掴んでいた手が離れ自分の力で立っていなかった女の子は足から崩れ落ちる
それを地面ギリギリで抱きとめ優しく包み込んだ若を見た時は、何が起きたのかしばらく理解出来なかった
「…戻るぞ」
冷たい声が路地裏に響いた時、やっと俺の頭は回転し出した
「…承知」
若の腕の中には気を失っているのか、ぐったりとした女の子
さっきまでの憎しみに満ちた表情が嘘だったかの様に、男なら誰でも惚れてしまう様な顔で目を閉じている
地面に転がる複数の男達に視線を移すと
「放っておけ」
不機嫌MAXでそう言われたから
「分かりました」
見なかったかの様に視界から外した