藍色の瞳




「ああ、今送ってきたところだよ」






『……ふーん』






スマホからはウンザリするほど聞いてきた生意気な声






「まさか若が女の子に触れる日が来るなんて思わなかったよ」






『理玖兄、今仕事中じゃねーだろ』






そう指摘されて初めて気がつく

仕事中の口調だったことに






「ごめんごめん。」






俺らは仕事以外の時、例え柊雅の前でも敬語は使わない






“若”とも呼ばない






それは柊雅が決めたことで、俺らはその言葉遣いにすることを“命令”された






『んで?なんでまた柊雅さんは女なんかに関わったんだよ』






「……さぁ?
ただの気まぐれかもね」






そう言いながら、気まぐれではない事を祈る自分がいる






『その女、誰?』






ここで“那夏”だと言って、こいつがどんな反応をするかなんて分かりきったことだ






『気まぐれ以外何があんだよ』
って鼻で笑うに決まってる






もう少し時間が必要かな






そう考えた俺はこう言っていた






「近いうちに会うことになるだろうね




……新」






< 51 / 139 >

この作品をシェア

pagetop