藍色の瞳
『若様が来る』
それは毎回決まった日だからか事前に知らされていたからかは分からないけれど、繁華街の人間は皆知っていたのだろう
確かパトロールしてるんだっけ?
でも今回繁華街に来た理由は『私の必要なものを買うため』
誰も若様が来るなんて思っちゃいない
「………」
チラッと視線を横に移すと、腕を組んで目を瞑る柊雅さんがいる
動く気配は微塵もなくて、昨日みたいに抱きしめられる心配はなかった
まつげ長いなぁ……
そんな事を考えていると、だんだんと窓の外の風景が知っているものに変わってくる
もうすぐ着く
そう思った私は寝ないように頑張った
「蜜ちゃん」
「はい」
運転しながら話しかけてくる理玖さんは勿論前を向いたまま
でも、ほんの一瞬だけバックミラー越しに目が合った
「頑張ってね」
「は?」
いきなりの応援の言葉に思わず素で答えてしまった