藍色の瞳




車が徐行してきたとき、窓の外を見ると“いつもと違う”様子に嫌でも気がついた






外から車の中は見えない






けど、こんな厳つい車が走っていれば誰が乗っているのか一目瞭然なんだと思う






「いってらっしゃい」






いつの間にか停車していた車






さっきまで眠っていたはずの柊雅さんはもうドアの取っ手に手をかけている






「あ、い…いってきます!」






そう言った私の声は






「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」






悲鳴……いや、黄色い歓声にかき消された






……なんか予想通りかも






その歓声が鳴り止む事はなく、一気に柊雅さんの存在が遠くなってしまった






「蜜ちゃん?」






まだ車内にいる私を不思議そうに振り返ってくる理玖さん






「いってきます!!」






さっきよりも大きな声で言った私の言葉は理玖さんに届いたみたいで、小さく頷いてくれた






「蜜」






外が騒がしくてもはっきりと聞こえる柊雅さんの声はやっぱり心臓の動きを早くさせる












「「「…………………」」」






……うわぁ

一気に静かになっちゃったよ






「え……なんで?」


「あれって那夏よね?」


「まっさか〜」






さっきまでのキラキラな空気は暗く重たい空気に一変する






車の中に戻りたい衝動に駆られたけど、柊雅さんが片手でドアを閉めてしまったからもう無理だ……






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