藍色の瞳
もしかしたら柊雅さんはそんなつもり無いかもしれない
でも…
今だけ……今だけ理玖さんの言葉を信じさせてほしい
『何を言われても堂々と前だけ見てな。』
前にはちゃんと柊雅さんがいるんだから、周りなんか気にせず前だけ見てればいいよね
もう1度視線を上げて、私に聞こえる声で悪口を言っていた女の人達を軽く睨む
すると一瞬だけたじろいだのが分かった
けど、彼女達がそのまま黙るはずがなく
「なにアイツ。何様?」
結果的には火に油を注いだことになってしまった
…でも気にしない
私は柊雅さんの背中だけを見てる
繁華街の中心に近づくにつれ、増えてくる人と視線
……どこに向かってるんだろう
気にしないと決めたら案外周りの声は聞こえなくなるもので
私はもう違うことを考えていた
「いらっしゃいませー」
まず最初に入ったのが高級ブランドで有名な服屋
涼しい顔で入ってしまった柊雅さんに対し、私にはすごく抵抗があった
「今日はどういったものを?」
…常連さんか……さすがだな
「……」
無言で私に視線を飛ばす
「かしこまりました」
………へ?