藍色の瞳




「何か食べるか?」






初めて柊雅さんから何かを問われた気がする






「……どちらでも」






もうすぐで午後1時だというのに普段食事をしない私は全くお腹が空かず、曖昧な返事しか出来なかった






いつも寝ていることに比べれば今日は結構動いていると思う






でも荷物は全てどこからか現れた黒服の人が持って行ってしまうし、そんなに長い距離を歩いたわけでもないので疲れていない






「……先に店回るぞ」






「はい」






しばらく私を見下ろしていた柊雅さんは、次の店に向かって歩き始めた






私もそれに続くように足を踏み出した時だった






……気にしないようにしていた周りの空気






……聞かないようにしていた声






どんなに頑張っても“この言葉”を聞き流すことは出来なかった






静かに


流れるように残酷に


耳を通り抜けていく言葉








『あんな女なんか死ねばいいのに』






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