藍色の瞳





バキィィッッ






「………」






……うそ






目の前の仁は呻き声も出せずに気を失った






パラパラと仁が叩きつけられたコンクリートの欠片が落ちていく






「仁っ!」






暴走族のリーダーらしきさっきの男が駆け寄ろうとするも






「うっ…」






触れる前に気を失う






それからはあっという間だった






ドサドサドサッと残りの男が倒れていく






抵抗する間もなく、全員綺麗に地面に転がっていく






ただあの日と違うのは、私が目を開けているということだった






着崩しているというものの動きにくいスーツを着ている彼は、誰よりも強く






「……綺麗」






美しかった






ドサッ






1分経っただろうか?

最後の1人が倒れた






「………」






呆然としている私の目から溢れる涙はまだ止っていない






視界がぼやけて何も見えない






だけど分かる






気持ち悪くなるような仁の匂いとは違い、落ち着いて安心する大人の香り






私に近づく黒い影が誰かと言うことなんて見えなくても分かる






………きっと怒られる…怒鳴られる…






けど嬉しい






名前を呼んで助けてくれたことが今は何よりも嬉しかった






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