藍色の瞳





目の前で黒い影が止まったとき、ギュッと目を瞑った






今なら何を言われてもいい






耐えられる






「蜜」






!!






覚悟を決めて身を縮めていた私の耳に入ってきたのは、低いけれど穏やかで優しさを含んだ声






……どうしてそんな声出すの?






「…顔上げろ」






やっぱり優しい






どうして






どうしてこんな時だけ……






「…ずるい」






「あ?」






……さっきはあんなに冷たい声で拒絶したくせに






どうしてこんな時だけ、余計涙が止まらない声を出すの?






「聞こえねぇーのか
顔上げろっつってんだ。」






……無理だよ






こんな涙でぐちゃぐちゃのみっともない顔見せれない






それに……






仁にキスされた唇は強く噛み締めたせいで血が出てる






……お願い……今は私を見ないで……






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