藍色の瞳
「…ふっ……んぅ」
再び押し付けられた唇はすぐに離れるわけがなく、じわじわと温もりを与えてくる
酸素を求めて薄く開いた唇からスルリと入ってきた熱いものは、私の口内の隅々まで侵して暴れる
一気に熱を帯びクラクラしてくる身体
「…はぁ」
お互いの息は乱れているのに柊雅さんの表情を盗み見ると全く苦しそうじゃなかった
「っ!?」
腰をぐいっと引き寄せられ、身体もすっぽりと包まれる
と同時に私の舌は柊雅さんのそれによって絡め取られた
「柊…雅さん」
心臓も呼吸も限界に近かった私が、気付かれないくらいの弱さで柊雅さんの胸を叩くとやっと離れていった
「……」
「ふっ……エロいな」
「……は!?」
初めて私の前で口角を上げた柊雅さん
その微笑みは妖艶で、聞こえた言葉につい反応してしまった
「行くぞ」
……なんでそんなに冷静でいられるの?
私はドキドキで倒れそうなのに
こんなにも熱くて腰が砕けそうなのに
『触るな』ってさっき言ったくせになんでこんなキスするの?
ずるいよ…
ずるいよ……ずるすぎるよ……
熱が残ってドキドキしているのに涙が出てきそうな
よく分からない感情が心の中を支配する
分からない
やっぱり柊雅さんの考えていることは私にはさっぱり分からなかった
そして、あんな熱い気持ちになる自分自身もよく分からなかった