藍色の瞳





「蜜ちゃん」






車を運転しながら話しかけてくる理玖さんの声は、いつもみたいに穏やかなものではなくて






「っ…はい」






一瞬肩が跳ねてしまう






「これから…
外に出られない日が続くと思う。」






「…え?」






「今日からしばらく蜜ちゃんは外に出られない。食事も家で取ってもらう。」






……監禁?






「…何か…あったんですか?」






…聞かなくても分かってる






何かあるから理玖さんはこう言っているんだから






私が聞いても困らせるだけか…

そう思った私は






「…何でもないです」






理玖さんが口を開く前にそう言い直した






「…ごめんね」






いつも謝ってもらってる気がする






迷惑かけてるのはこっちなのに…






“追い出す”ことをしない柊雅さん達は、その選択肢がある事に気づいていないのだろうか…






「コンビニとかも…」






「ダメだね」






「…そうですか」






マンションのすぐ近くにあるコンビニくらいなら行けると思っていたけど






それすらもダメだなんて…本当に何が起こっているのか分からないな






「必要な物は届けさせるよ。
欲しい物は言いつければ買って持ってきてくれるよ。」






…それって絶対黒服の人たちのことを言ってるよね?






あんな怖そうな人達をパシれと?






…ご冗談を…






「いつまでそうしてもらうか分からないけど…
なるべく早く終わらすからね。」






「はい」






何を早く終わらすの?なんて聞くはずもなく






言葉の意味を全然理解出来てなくて、聞きたいことが山ほどあるのに






『はい』

私の口は機械的にそう動く






だってイイコにしてないと



捨てられる…









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